秋の行楽シーズンが到来し、また、GoTo キャンペーンなどの後押しもあってか、気をつけながらも積極的に外に出て、活動をする人々がいる一方で、メンタルヘルスに関するご相談の中では、長期に渡ってコロナ感染防止に気を配ってきた結果、過度の不安や抑うつ症状に悩まされる人々が目立つようになりました。
「もともとは、おおざっぱで楽観的な性格だった。」という方が、自分でも驚くほど潔癖症になってしまったというのです。そして、さまざまなことに心配を巡らせた結果、気が付くと「やる気が出ない」「朝起きられない」など活動の低下が生じ、気分転換が難しくなるため、ますます心配事へのとらわれを強めてしまっています。どうしてこのようなことが起きてしまうのでしょうか。
まずは、お仕事や家庭のご事情で、コロナウィルス感染での重症化リスクの高い方々に接する機会がある方など、コロナウィルスの脅威をより身近に体験する状況下で生活する方々にこのような症状が多く現れているようです。職場で、また、テレビやネットからの情報によって繰り返しコロナの恐怖を刷り込まれることで、「万が一ウィルスが残っていたらどうしよう。」⇒「自分が原因で身近な人が重大な危険にさらされるかもしれない。」などと、何気ない行動についても最悪のシナリオを思い描き、強い恐怖を感じます。同時に、常にそのような危険を完全に排除するため、自分の行動や環境を完璧にコントロールしようとしてしまいます。
しかしながら、コロナウィルスの脅威を完全に取り除き、コントロールするのが大変難しいことや、そもそも自分自身が疲弊してしまうために、このような対処行動はやってもやってもきりがなく、結果的にメンタル管理においては悪循環になってしまうのです。また、このような最悪のシナリオは、決して起こりえないことではないので、容易に手放すこともまた難しいわけです。
加えて、このような方々は、性格的にとてもまじめであることが多いようです。『ステイホーム』という言葉がスローガンになっていたことから、「とにかく家にいなければならない。」と無意識的に思い込んで、(三密を避けて)散歩をする、などの気晴らしすら気が咎めてできなかったという方もいらっしゃいました。本来であれば、外出を控え家に居ることが『ステイホーム』の趣旨ではなく、人混みになったり、至近距離での接触を避ける、という意味合いから唱えられた言葉ですが、外出することへの罪悪感をより強く植え付けられてしまった一面もあったのではないでしょうか。
適度に外に出てうまく気分転換することは、『不要不急』ではなく、むしろメンタルヘルス管理においては必要なことなのですが、『家に居ることが良いこと』と刷り込まれてしまった結果、身体やこころをリラックスする機会を喪失した状態が長期化してしまったわけです。これにより、身体やこころに蓄積されたストレスが、うまく発散されず、やがて症状として現れてしまう、というのは想像に難くありません。
このような方々に必要な対処法とはどのようなことなのでしょうか。
第2回の
【『コロナうつ』になってしまう人の特徴とはvol.2】でご紹介します。
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